AR(拡張現実感)ってなに?
AR(Augmented Reality(オーグメンティド・リアリティ):拡張現実感)は「現実環境に情報を付加する」技術です。
こうやって説明するといつも「それってどういうこと?」と返されるのですが、想像しやすいところでいくと、ドラゴンボールの「スカウター」とか電脳コイルの「電子眼鏡」とかです。 あとは、見た方が早いです。 見せると大体「あぁ~、そういうことね。」と納得してくれます。
要するに現実環境にバーチャルな情報が付加される技術です。 広義的な意味では、視覚だけでなく5感に作用する聴覚・触覚・味覚・嗅覚的な拡張現実感もありますが、まぁ拡張現実感と言われたら視覚的な拡張現実感のイメージがほとんどです。
拡張現実感を作るにあたって重要なこと
拡張現実感を作るにあたって重要なのは、”現実との整合性“です。 視覚の場合は大きく見て3つくらいあります。
- 幾何学的な整合性
形が違和感なく表現できているか、意図した場所に違和感なく描画されているかどうかです。 奥行感などが難しいです。 例えば現実のモノでCGのモデルが隠れるといったことはとても難しいジャンルです。
- 幾何学的な整合性
現実環境と色合いが違和感なく表現できているかどうかです。 照明などの話になってきます。 現実空間からどう照明の具合を読み取るかが難しく、大体バーチャルだと割り切って無視するか、手動でやってます。
- 時間的な整合性
動きが違和感なく表現できているかどうかです。 要するに処理速度ですね。
これらをいかに解決するかで世界中の研究者の人達が頑張ってます。
では、実際作るには?
でも、こんなこと言われてもどうやったらいいのかわかりません。
そこで、拡張現実を割と簡単に開発できるツールがいくつか出てきました。
マーカAR
ARの有名なツールとしてARToolKitというものがあります。 ↑の動画のミクさんなんかはARToolKitですね。
これはマーカARというものに分類されるものです。 マーカARは、そのままですが「マーカを使ったAR」です。
目印となるマーカ(ARToolKitなら紙に印刷された四角いの)があって、これを認識して、そのマーカの位置にCGを描画する拡張現実です。
マーカARのメリットとしては、
- とてもインタラクション性があること(現実にあるマーカーを持って操作できる・直感的)
- マーカという決められたものがあるので、とても認識の精度が高いこと
- 表示物体の大きさを現実の制度(㍉とか㍍とか)で指定できること
- マーカというもの自体に工夫をすることで遊べる
デメリットとしては、
マーカが映ってなければどうしようもない。つまりは広い空間が苦手(大きな物体とか遠い位置のものを描画することが難しい)。
といったことが挙げられます。
ARToolKitは↑の整合性の”幾何学的な整合性”と”時間的な整合性”をやってくれるツールです。 基本的にはマーカの位置を認識して、その上にCGを描画してくれるツールなので、幾何学的整合性の難しい部分(現実のモノでCGのモデルが隠れるといったことなど)まではやってくれません。 この辺は別途に画像認識ツールなどを使ってやる必要があります。
マーカレスAR
マーカARに対して、マーカレスARというものがあります。 これもそのまんまなんですが、「マーカを使わないAR」です。 ↑の動画のセカイカメラなんかはマーカレスARですね。
あとは有名なものにPTAMという研究があります。
一応ソースコードが公開されているので使うこともできますが、研究段階のものなのでコンパイルするだけで中々苦労を強いられ、中身に関しては謎なプログラムなので、初心者は手を出さない方が身のためです。 また、結構上手く動かさないとちゃんと認識してくれなかったりするので、あくまで研究段階という感じです。
やってみたい方はこのへんのページを参考にするといいと思います。
- 工学ナビの中の人の研究と周辺 あのマーカレスARの研究がついにソース公開!
- マーカーレスAR技術「PTAM」をDVカメラで動作させてみる – program – 釣堀.net
- マーカレスAR(PTAM)のソースコードを動かしてみた(WindowsXP VisualC++) | happymeme
これは画像認識を使ってマーカーレスにした場合です。 他にもマーカARというのかマーカレスARというのか微妙な線の”マーカでないものをマーカにするAR”なんてのもあります。
また他にもマーカレスARの方法として、セカイカメラの場合はセンサを使っています。 GPSとiPhone内蔵の電子コンパス(方向がわかる)から位置と見ている方向を割り出し、あのようなものを作っているようです。
マーカレスARのメリットとしては、
「自由度があること」
デメリットとしては、
- マーカARのようなインタラクション性がない
- 正確な認識が難しいこと
が挙げられます。
まぁ基本的にマーカなんてものはない方がいいに決まってるので、ゆくゆくはマーカレス化が進んでいくと思いますが、”自分の手で動かす”っていうマーカARのメリット的な部分をマーカに代用するもの(例えば手とかその他のモノとか)を認識する形で継承していくんだと思います。
この辺は結構区別がしにくいので、「こんな感じに区別されてるんだな」くらいで、気にしないでいいと思います。