まず目的を
2DCGの場合は3DCGほどコンピュータのスペックは要求されません。ただし、描こうとしているものによっては、スペックがある程度必要な場合もあります。
例えば、印刷用の画像は解像度を細かくする(キャンバスサイズが大きい)ので、スペックがないと動作が重くなります。
対して、ネットで公開する画像やドット絵など、キャンバスサイズが小さくて済むようなものであれば、一昔前のPCでも余裕です。
Photoshopなどでいえば、レイヤーを沢山重ねたり、テクニカルなことをする人はスペックが求められますが、1枚のレイヤーにそのまま描いていくようなタイプの方はスペックが低くても大丈夫です。
要は、ものすごく短絡的な言い方をすれば「人による」のですが、最近(ここ2~3年)のPCであればまず問題はないと考えてもらって大丈夫です。
それよりも、周辺機器(モニタやペンタブレットやスキャナなど)が大事になってきます。CG系の絵描きさんは、よく「メモリとペンタブとモニタに金をかけろ」なんて言いますね。
パソコンを構成している中身のパーツ
これからパソコンを選ぼうかと思っている方に、2DのCG制作をするパソコンを選ぶ、または改造するときの基準となるパーツについて解説したいと思います。まず、メモリとストレージとCPUを、机と本棚と人間に例えて紹介します。
メモリ
パソコンを動かしている時に、その時に使う一時的なデータを記憶しておく装置です。 その時に使うデータを記憶しておくので、使い終わった後はすぐデータを消してしまいますが、データを読み書きスピードがものすごく速いです。
例えると、机が大きいほど、手元に色んな本や資料をゆとり持って並べておけますよね。
印刷用の画像など、大きな画像を扱う予定の方はメモリを増やした方がいいかもしれません。メモリが足りないと、表示できない可能性も出てきます。
ストレージ(ハードディスクなどのこと)
外部記憶装置です。メモリは一時的にデータを記憶しておく装置でしたが、ストレージは長期的にデータを記憶しておく装置です。 沢山記憶することができるのですが、メモリと比べると読み出しに時間がかかってしまいます。
例えると、本棚です。沢山の本や資料を保管しておくことができますが、探すのに手間取ったり、取りにいくのに時間がかかりますよね。
沢山の画像や重たいファイルなどを保存しておきたい方などは、大きめのものを選んだ方がいいかと思いますが、最近のものであれば概ね余裕だと思います。
最近のストレージは大きく分けて4種類あります。
- 外付けハードディスク
- 内臓ハードディスク
- SSD
- クラウドストレージ
外付けハードディスク
外付けハードディスクは主にUSBを使って「パソコンの外」に保存しておけるストレージです。
特徴としては「容量が大きい」「読み出し速度は遅い」「値段は中くらい」が挙げられます。
内臓ハードディスク
内臓ハードディスクは「パソコンの中」にあるストレージです。 OSやアプリケーションなどがインストールされてるのは、このストレージになります。
特徴としては「容量は中くらい」「読み出し速度も中くらい」「値段が安い」が挙げられます。
SSD
SSDは「パソコンの中」にあるストレージです。 割と最近出てきたので、聞きなれない方もいるかと思いますが、よく「爆速!!」とかいって売られてるあれです。 役割的には、内臓ハードディスクと同じだと思っていただいて大丈夫です。
特徴としては「容量は小さい」「読み出し速度は速い」「値段が高い」が挙げられます。
クラウドストレージ
クラウドストレージは「パソコンの外」に保存しておけるストレージです。 これも最近でてきたものなので、聞きなれない方もいるかと思いますが、DropBoxとかが有名ですね。 自分の所に置いておくのではなく、「企業が管理しているサーバーに置いておく」という保存方法です。
他の3つとはまるで違って、早いとか遅いとかいう問題ではなく、ファイルを「色々なところからアクセスできる」「他の人と共有できる」というのが特徴です。 容量はとても小さいですが、無料から使うことができます。
まとめ
基本的な考え方としては、使い分けが重要です。 特徴を見定めて、自分に合うように使ってみてください。
CPU
Central Processing Unitの略で、中央演算処理装置と名付けられている通り、パソコンの核となるパーツです。 演算処理装置の名の通りで、色々な処理、つまりコンピュータの役割である計算を、いかに早く処理するかがこのパーツの使命です。
例えでいうと、実際に動いている人間ですね。
このパーツに関しては、基本的にはいいものに越したことはないです。パソコンの全てのパーツと関係してくると言っても過言ではないです。他のパーツとの組み合わせや予算と相談してみてください。
ビデオカード(グラフィックボード)
上の3つとは、少し毛色が違うパーツです。このパーツを気にするところが、CGならではと言ったところでしょうか。
ビデオカードは、その名の通り、映像に関する処理速度を上げるためのものです。(最近では、ちょっと違う使い方もされていますが)
3DCGやゲームをやる人、映像系の人はすごい気にするパーツなのですが、静止画であれば、まず気にする必要性はないです(標準のものが入っていれば十分)。
あえて言うならば、Adobe製品(Photoshopなど)を使う人が少しいいものを使っているくらいだと思います。
周辺機器
ペンタブレット
ペイント系ソフトでお絵描きしようと思っている方は、これがあるとないとで天と地の差があります。
ペンタブレットはタブレットの上を動くペン型入力装置の位置情報を読み取って、ディスプレイのポインタを操作するものです。 筆圧、ペンの傾きなども感知でき、ペンで描いているような感触で自由に描くことができます。
ペンタブレットを作っている有名な会社でWacomという会社があります。 家電量販店に行けばWacomの製品は大体ペンタブコーナーに置いてあり、お試しができるようになっています。触ってみるのが一番早いので、色々試してみてください。 種類がいくつかあるので、買ってから「あっちの方がよかった・・・」なんてことのないようにしましょう。
Intuos
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プロフェッショナル向けのペンタブレット。
CG会社、アニメ会社、デザイン会社、ゲーム会社など、一般的にCGを扱っている会社では、必ず持っているほど業界スタンダートな製品です。
ペンタブレットはタブレットの大きさ(実際に描ける範囲)で値段が結構変わります。大きい方がよりディスプレイに対して精度のよい(細かい)操作ができますが、値段が高く、また描く際に場所を取ります。
また、最新バージョンのintuos5では、「タッチで操作するかどうか」「ソフトを付属させるかどうか」でも値段が変わります。自分の環境を考えつつ選んでみてください。個人的オススメは、Mサイズです。
Bamboo
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ライトユーザー向けのペンタブレット。
絵を楽しむ、イラストや漫画を描く、ちょっとしたラクガキ、メモ書きなど、その用途は幅広いです。ノートパソコンと一緒に持ち歩いてもいいかもしれないですね。
BambooもIntuosと同じように「タブレットの大きさ」「タッチで操作するかどうか」「ソフトを付属させるかどうか」で値段が変わります。あとは、Bambooには何が付くかによって種類が変わります。
- Bamboo:これが基本。タッチ機能付。ソフトなし。
- Bamboo Pen:Bambooからタッチ操作がなくなってシンプルになったもの。
- Bamboo Comic:Bambooにコミック系のソフトが4つ付いたもの。(Pixia、IllustStudioMini、ComicStudioMiniなど)
- Bamboo Fun:Bambooにグラフィック系のソフトが5つ付いたもの。(Photoshop Elements、Painter Essentialsなど)
intuosは高いので、「ペンタブで描ければいい」「マルチタッチ操作がしたい」という方にはオススメです。
Cintiq
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プロフェッショナル向けの液晶ペンタブレット。
プロの中でも、本当に描くことに特化した人が使っています。ペンを置いたその部分に描かれていくので、より直観的に描くことができます。
違いは色々とあるので、詳しくはWacomのサイトを見てみてください。
モニタ
大きい方が見やすいです。
気にし出すとカラーの事や色々とありますが、気になる方は「モニタの選び方」とかググれば詳しい情報はいくらでも出てきます。 とりあえず、光沢のないもの(ノングレア)にしましょう。お金に余裕のある方はIPS方式のパネルに。
あと、使っているモニタのキャリブレーション(調整)を忘れずに行いましょう。 方法はモニタの話で紹介しています。
モニタアーム
モニタを支えるアームのことです。 モニタを近づけたり、遠ざけたり、角度を変えたり、回転させたりすることができます。ピボット回転といって、グラフィックボードの方でモニタの出力の縦横は変えられるので、縦長のモニタなんてのもできます。
モニタの角度や位置を細かく調整したい方、縦長のイラストを描く方は、あると便利かもしれません。
スキャナ
手書きで書いたものをベースにしていくなら必要かもしれません。
実写素材(テクスチャなど)を取り込むときにも重宝します。
カメラ
カメラで撮ったものをベースにしていくなら必要かもしれません。
アングルの研究とか、構図の練習に使ったりもします。あとは、実写素材を取り込むときにも重宝します。
プリンタ
私は印刷会社に頼んでしまうので、この辺があまり詳しくないのですが、自宅でイラストをプリントする方などはこだわっているのだと思います。(タブン)
「CGで描いたものを、アナログで修正して、もう一回スキャナで読み込んで・・・」なんてことをされる方も必要です。
あとは普通の人の普段使いと同じように、ちょっとしたテンプレートを作って印刷とか、資料をアナログ媒体で残しておくときには便利です。
マウス
普通のもので全く問題ないです。 たまにマウス絵で神がかった人がいますが、普通のマウスだと思います。
ドロー系ソフトではマウスが多いので、ドロー系をやろうと思っている方はこだわってもいいかもしれないです。
マウスパッド
差し迫った必要性は全くありませんが、もしマウスの動きでマウスを変えようと思っている方は、その前にマウスパットについて一考してみてください。 意外とマウスパッドの役割は大きいです。 FPSなどのネットゲームをやっている方なら分かるかと思いますが、マウスパッドの力は偉大です。 そのくらい劇的に変わります。
キーボード
普通のキーボードで問題ないです。 テンキーが付いていると便利かも。
その他のユーザーインターフェイス
CG作業するときには、作業を効率化するために特殊なインターフェイスを使う方が結構います。
例えば、有名な手法で「ゲームコントローラにショートカットを割り当てて使う方法」というのがあります。 右利きなら、右にペン、左にコントローラを持ち、それで絵を描きます。
あとは、完全に特殊なインターフェイスを使う人もいます。 例えば、PowerMateですね。
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まとめ
まとめます。
ペイントソフトでお絵描きしたいなら、ペンタブを買った方がいいです。 他は適宜あれば嬉しい感じです。
道具を揃える事よりも、大事なのは「それを使って何がしたいか」です。道具集めに走って、本質を見失わないように気を付けてください。